〔Yの言い分〕
1 Xが言うように、平成18年8月19日まで、本件絵画をXが所有していたのはその
とおりです。しかし、私はその日に本件絵画をXから購入しておりますので、本件絵画
の現在の所有者は私です。Xから本件絵画を返してほしいと言われて、私も正直言って
迷惑しています。
2 私は、本件絵画の売買についての代理権がBに付与されていることは、本件委任状を
見て確認した上で、Bとの間で、平成18年8月19日に、本件絵画の売買契約を締結
したものです。今になって、売買については代理権を与えていないとか、そんなつもり
ではなかったと言われても困ります。実は、平成16年ころのことになりますが、Xは
Bに対してある骨董品の売却をお願いしていたことがあり、私のところにも当時
話がありました。XとBとは、以前からそのような関係でしたから、今回も売却の代理
をBにお願いしていたのではないでしょうか。おそらく、本件絵画が130万円くらい
で売れそうだという話をどこからか聞きつけて惜しくなったのではないでしょうか。
また、少なくともXがBに対して本件絵画の売却のための媒介契約を美術商との間で
締結することは委任していたわけであり、むしろ、私こそが被害者です。そもそも、X
とBとの間で具体的な代理権の範囲に認識の不一致はあったわけで、それは、XとBと
の間で解決すべきことですし、私を巻き込むのは筋が通らないと思います。
3 なお、実は、本件絵画については既に数人の顧客から引き合いが来ており、今申し上
げたように、130万円程度で売れる見込みもあるのです。私としては、商売ですから、
これと同額で買っていただけるのであれば、Xにお返しするのもやぶさかではありませ
んが、そうでなければ、本件絵画をXにお返しすることはできません。
なお、平成18年10月3日、Bの会社の工場が失火により全焼する事故が起きたの
です。その後、Bとの連絡も取りにくくなっておりますし、Bは破産するのではないか
と噂されている状況なのです。
4 Xにとっては、本件絵画のことは重要なことかもしれませんが、100万円程度の絵
画の売却などはよくあることで、特に高額の取引でもありません。この件にこれ以上煩
わされたり、挙げ句にはXから色々と非難されるのは心外です。
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